飴が口の中で溶けていったあと

しばらくして椅子から立ち上がった私は、ベッドへと座り直す。


そして

“隼人”と、名付けた小さなテディベアを抱えると自分の膝に乗せ、ジッとその顔を見つめてみた。


「……」


黒目がちの丸い大きくて優しい目は、本当に隼人と似ているかもしれない。


(勝手に命名して、しかも毎晩一緒に眠ってるなんて知られたら絶対引かれる…)


分かってはいても募る愛しさから、クマの隼人をギュッと抱きしめてみた。



(…夏休み、早く来ないかな)




まだ来ない夏に想いを馳せていく


そんな夜だった。