TEARS【~君色涙~】

「…あの吉川先生。お…お言葉かもしれないですが、
実習が終わって、いずれ本当の先生になったとき、
そういう言葉を軽々しく生徒に使うのは良くないんじゃないかと思います…」


それでもし…本気にしてしまう生徒がいたら……。


と、なにか良からぬ心配までする私がよほど可笑しかったのか、吉川先生は笑いだした。


「ははっ、大丈夫。
心配しなくても俺は教員にはならないよ。とりあえず資格はとっておくけど」



その職に就くつもりはないのに、資格は取る。

その理由が、まだ中学生の私にはよく分からなかったけど、先生の返事を聞いてひとまず安心した。