TEARS【~君色涙~】

『なんかごめん。余計なこと聞いた。んじゃまたね、ばいばい!』

『は?えっ?おい栗原』


動揺から、一方的に電話しといたあげく、一方的にブツ切ってしまった。

握りしめていたスマホを床に手放す。


聞かなければ良かったと、浅はかな自分の行動を悔やみながら、抱えこんだ膝に顔ごと押さえつけた。






翌朝。

ふと教室を見回すと、隼人が来ていた。

私は一瞬躊躇しながらも、おそるおそる近寄る。


「隼人…昨日はごめん、変な電話して」

「いや俺こそ。つか栗原の様子がなんかおかしかったから、そっちのが気になって」



こんな時でも、隼人は優しい…


いいの?隼人。

私に優しくして


隼人の好きな子に誤解されちゃうよ…


でもその想いを口には出せないまま立ち尽くしていると、隼人が何か思いきったように顔をあげた。


「…あのさ、栗原。
俺、今日栗原に話したいことが」

「栗原さん」



そんな隼人の言葉を遮るかのように後ろから名前を呼ばれた。


振り返るとそこにいたのは、吉川先生。