TEARS【~君色涙~】

おそるおそるスマホを耳元に当てると、ものの数秒で隼人が電話に出てくれた。


『もしもし栗原?どした?何かあった?』


隼人のその言葉、口癖になっちゃったね…。

前までは嬉しかったのに
今はちょっと複雑で。

だから嘘をついた。


『……ううん。別になにも。
それよりさ隼人、最近すごいモテ期なんだってね』

『え、なんだよ急に。誰かから聞いたのか?』

『ユカリから聞いたの。すごいねぇ隼人。5月まだ入っばっかなのにもう5人以上から告られてるなんてさ』

『……』


さすがに今日の放課後、隼人が告白されてるところを盗み見てしまったことは言えなかった。

ただそれでもどうにか遠回しに話を振って、告白の返事が事実なのかどうかを知りたかったんだ。


そんな私のずるい計算に対して、
隼人は自慢げに答えてみせるどころか、むしろ神妙そうな口調でこう言い返してきたんだ。



『別に。んなモテたって…好きな相手から好かれなきゃ意味ねーだろ』



……やっぱり。

隼人、本当に好きな子……いるんだ。


だれ?


私の知らない子?