TEARS【~君色涙~】

朝の登校中、久しぶりに学校の下駄箱で隼人を見かけたんだ。


「あ」

「……」


どこか懐かしさまで感じるその後ろ姿に、思わず私の口から声が漏れる。


しばらくその場で立ち止まっていると、背を向けていた隼人がふいにこっちを振り返って



「久しぶり」



と、いつもの笑顔で笑ってくれたんだ。



「――ひ、久しぶり!春休みから会ってないから1ヶ月ぶりくらい?」



嬉しさから急いで私は隼人の元へと走って駆け寄る。

このとき距離感が近すぎたのか、隼人はちょっとだけ上の方を向いた。


「もうそんな会ってねーんだ」

「うん、元気だった?」

「うん。しかも最近すげーよく食べるし」

「そうなんだ」



わ、わ…。

久々で何かすごい緊張…。


でもいつもの隼人だ。変わってない。

よかった、元気そうで。


内心ホッと胸を撫で下ろす私の横で、隼人はどこかが痛いのか少しダルそうに自身の腕に手をまわした。



「けどなんつーか、ここんとこ妙に体の節々が痛くてさ」

「?痛い…?」


それって筋肉痛とか?
なんてぼんやりと思っていた時だった。


「それで昨日もあんま寝れなかった」

「……」


ん?


あれ…?


そういえば隼人の声、さっきから何か…




「ねえ隼人、もしかして風邪ひいてる?」

「え?ひいてねぇけど」



でも前からこんな声だったっけ?

かすれてるというか、しゃがれてるというのか、とにかくどっかいつもと違うような…



「けど何かすげーしゃべりずらい……」



もしかして



声変わり?