【完】狂犬チワワ的彼氏



…なんか、不思議だ。


ついさっきまではあんなに「騙された」とか思ってショックで仕方なかったのに。

拓海くんのその笑顔を見ると、「まぁいいか」なんて思ってしまう。


だって彼は、可愛すぎるのだ。

あたしだけの“狂犬チワワ”。



「…拓海くん、」

「ん?」



そしてあたしはふいにそんな拓海くんを呼ぶと、彼に言った。



「あたしって今から、拓海くんだけの彼女なんだよね?」

「…何トツゼン」

「いいから!彼女だよね?」



そう問いかけると、思わず期待の眼差しで拓海くんを見上げる。


…あんまりこういうこと聞くと、怒っちゃうかな。


そう思ったけれど、次の瞬間拓海くんは意外にも少し顔を赤くして言った。



「…そうなんじゃね?」



そう言って、あたしからフイッと顔を背ける。



「!!」



あたしはその言葉と仕草が嬉しすぎて、まるで夢を見ているみたい。

そんななかあたしは空に見えている消えかかった虹に目を遣ると、思わず心の中でお祈りをした。



拓海くんと、ずーっと相思相愛でいられますように。



そんなあたしの横顔を見つめながら、拓海くんが独り優しく微笑んでいたことに、あたしは気づかない───…。