【完】狂犬チワワ的彼氏



…え、嘘。

拓海くんが!?


お兄ちゃんのそんな言葉を聞いて、あたしは思わず疑ってしまう。

だってそんなこと、拓海くんに限ってあり得ない。

それに拓海くんは、あたしを騙してて…、


だけど、そうは思ってもやっぱり玄関の外が気になるし。

あたしは小さな期待を胸にリビングを出ると、小走りで玄関に向かった。


…もしかして。

あたしが寝る前から、ずっと待っててくれたとか…?


あたしはそう思うと、玄関で靴を履いて小さく深呼吸をした。


…駅でのことが、蘇る。

思い出すと胸が痛くなって…少し苦しい。

けど、大丈夫だ。きっと大丈夫。


そしてあたしは自分にそう言い聞かせると、玄関のドアをゆっくり開けた。


すると―――…



「…!!」



そこには、

お兄ちゃんが言った通りに拓海くん(だと思う)がそこにいて…

あたしがドアを開けた瞬間、すぐ傍に立っていた拓海くんと目が合った。



「妃由…」