あたしはそう思うと、頬を伝う涙を拭いながら拓海くんに言った。
「…もう、わかんない」
「…?」
「わかんないよ、全然。何で、あたしがこんな目に遭わなきゃいけないのっ…」
嬉しかったのに、もう終わりなの?
そう思いながらいっぱい泣いても、目の前の拓海くんは何も言ってくれず…。
ピクリとも、動かない。
一方、そんなあたしと拓海くんの様子を見ている龍也くんも何も言おうとはしなくて…。
この状況に耐えられなくなったあたしは、次の瞬間、涙を強く拭うと…
「…っ…」
いたたまれなくなって、走ってその場を後にした。
そんなあたしを、拓海くんは追いかけて来ない…。
拓海 side
「…追いかけないんですか?」
妃由がいなくなった後、立ち尽くしているだけの俺に龍也がそう言った。
でも今の俺には、妃由を追いかける勇気なんて無くて…。
「バカですね。独り占めしたくて本当のことを言ったのに、彼女を勘違いさせて逃げられた上に追いかけもしないなんて」
「…」
「…もしかして、怖いんですか?」

