いつだって素直で、
ビックリするくらい純粋な女で、
俺がどんなに酷いことを言っても、結局は「木塚くん!」って嬉しそうにして俺の傍にいるから。
あの妃由の満面の笑顔を見る度、俺は何故か言えなくなっていった。
むしろ、言っちゃいけないんじゃないかっていう気持ちの方が大きくなっていって…。
最低なことだとは思ったけど、俺は妃由にこのまま夢を見させることにした。
そして、次に妃由に逢うのはきっと海に行く日。
まだ智輝や龍也とは話し合っていないけど、この前公園に妃由を呼び出したのは智輝だし、
きっと次は俺が行くことになるんだと思う。
「…海、か」
めんどくせぇな。
俺は思わずそう呟いたら、その時ふいに龍也に言われた言葉を思い出した。
『あまり、彼女に冷たくしないであげて下さい。
それと言葉遣いにも注意して下さいね。でないと俺達が―――…』
…そう言えばアイツ、あんなこと言ってたけど。
本当は密かに、妃由に惚れてたりしてな。

