【完】狂犬チワワ的彼氏



けど…


……まさか。まさかね。


あたしはそう思って首を横に振ると、再び階段を上って部屋に戻った。


何を考えてるんだろう、あたしは。

そもそも双子だったら、そういう情報からもう知ってるはずだし。

それは考えすぎだよ、ただの考えすぎ。


そしてあたしはそう思うと、ベッドの上に寝転がった。




******




「え、海?」



それから、数日後。

夏休みも中盤に差し掛かった頃、ある日木塚くんから海に誘われた。

あたしがそう言うと、電話の向こうで木塚くんが言う。



「そ。でも別に、行きたくなきゃ来なくていいかんな。

ただ、俺の友達が“お前の彼女を見てみたい”って騒ぎだすから」


「!」


「…どうする?」



木塚くんはそう聞くと、あたしの返事を待つ。


…正直、海は苦手だけど…。


この前公園で逢ってから木塚くんとは逢ってないし、あたしはその誘いに頷いた。