【完】狂犬チワワ的彼氏



そのワードに、あたしは階段を上がる足をピタリと止める。

何故かその時、その“双子”という言葉が妙に引っかかって…


ふいに、今までの出来事があたしの頭の中でフラッシュバックされた。




“あのっ…あたしと付き合って下さい!”

“イマドキマジ告白とか、キモイな!!”

“お前みたいなキモ女、マジ勘弁!っつか俺女嫌い!”



“お前、やっぱ俺と付き合え”



“家、どこなの?”



“…でもまぁ、確かに変だよな”

“よくよく考えてみたらオカシイと思わないか?”

“マジで良い奴だったぞ”



“妃由、飲む?”

“ちょっ、木塚く…!”

“…ヘタすぎ”



“あたし………帰るね!”

“じゃー送るよ”


“彼女を家に送り届けるのは当たり前だろ”




「…っ…」



もしかして………いや、まさか。待て待て待て。

さすがにそう決めつけるのは、まだ早い。


でも…。


よくよく考えてみれば、同一人物にしてはおかしすぎる。

全て矛盾しすぎていて…。


あたしはそう考えると、やがて心の中でそっと呟いた。



もしや木塚くんって…二人居たりする?



…双子…?