【完】狂犬チワワ的彼氏



あたしはそう思うと、木塚くんに言った。



「や、いや…それはいいよ。悪いし」

「何で。彼女を家に送り届けるのは当たり前だろ」



そう言うと、



「行くぞ」



って、あたしの家に向かって歩き出す。


…けど、一方そう言われたあたしは自分の耳を思わず疑った。



“彼女を家に送り届けるのは当たり前”?

……何それ何それ!いったいどのクチがそんなこと言うわけ!?



「あ、あの…」

「何、」

「木塚くん、大丈夫?」

「何が、」

「だって何か今日、可笑しくない?派手に頭でもぶつけた?」



そう言うと、さっさと先を急ぐ木塚くんにあたしは一生懸命についていく。


…ってか、歩くの早い…!


そう思っていたら、木塚くんがふいに振り向いて…



「…お前、バカ?」

「!」

「言ってる意味が全然わかんねぇ」



呟くようにそう言って、また歩き出した。



…その口調は、いつもの木塚くんそのものなのに…。