【完】狂犬チワワ的彼氏



「妃由、」



ふいに、木塚くんに名前を呼ばれて…



「飲む?」

「!」



突如、そう言われた。


…え、今、何て…


だけど一方のあたしは、飲むとかどうとかよりもまず、木塚くんが初めてあたしの名前を口にしてくれたことが嬉しい。


聞き間違いじゃ、ないよね…?今の、


そう思って返事を出来ずに固まっていたら、また木塚くんが言った。



「…いらねぇならいいけど」

「!!あー!飲みます!絶対飲む!」



そんな木塚くんの言葉に我に返ると、あたしは慌てて両手を差し出す。


こんなチャンス滅多にないじゃん!


しかしあたしがそう思って待っていたら、

木塚くんは何を思ったのか、残り少なくなったそれを口に含んで―――…



「…!?」



あたしが大人しく待っていたら、木塚くんの腕が突然あたしの肩をぐっと引き寄せた。


そして…



「ちょっ、木塚く…!」



突然のことに、あたしがビックリする間もなく…


次の瞬間…




強引に、唇が重なった。