【完】狂犬チワワ的彼氏



…………



それから直樹の家を飛び出して、目的の××公園に着いたのは、電話を切ってから約15分後のことだった。

これでも必死で汗だくになって走ってきたのに、公園に着いた途端に木塚くんが不機嫌そうに言う。



「…おそい」



…でも、そう言うけどあたしだって…、



「っ、はぁ、ごめ、だって…2分とか、無理っ…」

「どんだけ待たせんだよ」



すんごい慌てたし、急いで来たんですケド。


でもそれをなかなかわかってくれない木塚くんは、座っていたベンチから立ち上がると、息を整えているあたしに言った。



「…じゃあ罰ゲームな」

「え、えぇ~!?頑張って走ってきたのに!」

「遅れたら罰ゲームだっつったろ」



そう言って、何やら自身のズボンのポケットに手を突っ込んで、チャリチャリと何かを取り出す。


ってか、あたしは何で呼ばれたんだろう…。


そう思っていると…



「…ん、コレでジュース買って来い。そこの自販機で」

「!」



木塚くんはそう言って、あたしに小銭を手渡した。

その手に、あたしも自然と片手を差し出すけど…。