龍也くんは突然そう言うと、遅れて反応するあたしを、真っ直ぐに見遣る。
“旅行”という言葉にあたしが驚くと、龍也くんが不思議そうに言った。
「あれ、拓海さんから聞いていないんですか?俺達来月3人で旅行に行くんですよ。熱海の方に」
「…熱海…?いや聞いてないよ!初耳なんだけど!」
「そうですか。まぁ初耳とかはとりあえずお置いておいて、どうですか?この賭け」
「…っ、」
龍也くんはあたしにそう問いかけると、滅多に浮かべない笑顔を浮かべる。
でもあたしは、ちょっと不安があって。
龍也くんに言った。
「…て、てか、大丈夫なの?拓海くんに言わないまま、そんなことあたしに言っても」
「別に大丈夫ですよ。妃由さんが来るなら拓海さんも大歓迎でしょうし」
「…大歓迎…」
「どうですか?もちろんこれは行きたいですよね?」
龍也くんは、笑顔であたしにそう言うけれど。
でも…でも…旅行。熱海。
ちょっと不安とかもあるけれど、でもやっぱり拓海くんと思い出をいっぱい作りたい!
あたしはそう思うと、やがて龍也くんに言った。
「っ…行く!追試も頑張る!」
「そうですか。嬉しいです。俺も頑張って教えますね」
「切実にお願いしますっ」
あたしは龍也くんにそう言うと、再び勉強を頑張ることにした。
……と、いう夢を勉強中に見たのだった。
【勉強と睡魔と旅行/おまけ⑤】
(妃由さん、起きて下さい)
(うーん…旅行、行きたい……)
(妃由さーん)

