そう言うと、「…ここは潔く諦めますか?」と、とんでもない言葉を口にする。
でも、それだけは絶対に嫌だ。
ってか諦めたってまた次の追試があるから無理だし。
それに…
「…拓海くんに嫌われちゃう」
「…」
「拓海くんって、成績が常に学年トップなの。それなのに彼女がバカって何?」
「…悲惨ですね」
あたしがそう言って顔を伏せると、龍也くんがそう言って苦笑いを浮かべる。
けど笑ってる場合じゃないし。
実は拓海くんには、あたしが数学のテストで赤点をとったことを言っていない。
しかも、こうやって龍也くんと勉強会を開いていることを、実は知らせていなかったりする。
…いろいろヤバイんだよなぁ。
あたしがそう思いながら目の前の数式とにらめっこをしていると、龍也くんが言った。
「…大丈夫ですよ。彼はきっと妃由さんがバカでも気にしませんから。まぁ多少の暴言は吐くでしょうけど」
「その暴言が嫌なんだよ。ってか“きっと”って曖昧だね、怖い」
それに、何気にいまあたしのこと“バカ”ってはっきり言った。まぁ今は否定できないから怒れないんだけど。
あたしはそう思うと、龍也くんと会話を交わしながら、右手でペンを回す。
相変わらずペンが進まないあたしに龍也くんが再び一から教えてくれるけど、いまいち頭に入らないのは何故だろう。
そう思いながらもなんとか頑張って問題を解いていると、そんなあたしに龍也くんが言った。
「…では、こうしませんか?」
「え?なに?」
「妃由さんの追試が無事にパスできたら、妃由さんも一緒に俺達と旅行に行きません?」
「…え、旅行!?」

