でも、あたしがそう言って止めようとしても、木塚くんは手を止めてくれなくて…。
しっかり結ってある編み込みをほどきながら言う。
「頑張ってやってもお前のは雑すぎる。
これから横に並んで歩く俺の気持ちを考えろ、バカ」
「!」
木塚くんはそう言うとあたしの編み込みを全てほどき、何やら傍からヘアスプレーを手に取った。
そしてそれをあたしの髪に向けると、それをかけて…。
もしかして、木塚くんがあたしの髪をやってくれるの!?
そう思っていたら、案の定木塚くんは黙ってあたしの髪にアイロン をかけ始めた。
「…木塚くんって、そういう髪のこと…できるんだ?」
そんな木塚くんにあたしがそう問いかけると、木塚くんは手を器用に動かしながらたった一言ぶっきらぼうに言う。
「黙れ」
「…」
そう言って、慣れた様子で丁寧にあたしの髪にアイロンをあてていく。
だからそう言われたその瞬間、何も口に出来なくなって。
そんな風に冷たく言われたら、黙って言うことを聞くしかない。
「…、」
でも、そんな木塚くんにまた口を膨らませながらも、あたしは何気なくチラリと鏡に映る木塚くんに目を遣る。
…普段あんまり見ることがない、 凄く真剣な表情。
いつもはあんなに“狂犬”なのに 、今の木塚くんは手の動きが優しい。

