【完】狂犬チワワ的彼氏


…何をするんだろう?

もしかして、お昼ご飯…は、過ぎてるか。

あたしはそう思いながら、拓海くんにラインで軽く連絡をして、そのあとキッチンに立つ智輝くんに目を遣った。


「…」


きっと何かを作るつもりなんだろう。それは間違いない。

智輝くんは色んなところから材料や調理器具を取り出すと、早速何かを作りはじめた。


「…何作るの?」


そしてそんな智輝くんにあたしが近寄ってそう問いかけると、智輝くんが言う。


「あ、お前半径2メートル以内俺に近づくなっつったろ?」

「そんなのいいからさ。ね、何作ってんの教えてよ」


じゃないと、スッキリしない。

だって何の実験かと思ったから。

するとそんなあたしに、智輝くんが呟くように言う。


「…チーズケーキ」

「…チーズケーキ?え、チーズケーキ作ってるの!?智輝くんが!?」


それは正直、意外すぎる。

だってあの、智輝くんだよ。

いや、あたしも正直彼のことはまだあまり知らないけれど。

人を物としか思っていないこの男が、スイーツを作っているなんて。