【完】狂犬チワワ的彼氏



あたしが家に上がると、智輝くんがそう言って止めようとしたけど、

でもそんなの無視無視。

拓海くんの部屋に入らせて貰えるのかと思ったら、

拓海くんは部屋を見られたくないのか、あたしをリビングのソファーに座らせた。



…それはいいんだけど。



「ごほっ、ごほっ」

「…拓海くん、風邪?」



何故かさっきから、ってか帰り道の時から…何故か拓海くんは、咳やくしゃみばかりを繰り返している。

風邪でも引いたのかな、ってそう聞けば…拓海くんは首を横に振って言った。



「いや、風邪は引いてない(…はず)」

「でもそれ、あきらかに風邪っぽい…」



しかし、あたしがそう言うと…



「妃由さん、」

「?」



その時ふいに、同じくリビングに居た龍也くんに名前を呼ばれて、振り向くと…

龍也くんはあたしに向かって、声を出さずに言った。



「(えいと)」

「…!!」



するとその口パクで、あたしは一瞬にしてその咳の原因を掴んでしまう。



「あぁーっ!!!!!」