【完】狂犬チワワ的彼氏



「我慢してよ、こっちだって見てて痛々しいんだから、」



それでもあたしはそう言うと、消毒液をつけていく。

するとそんなあたしの言葉を聞いて、拓海くんはやっと我慢しはじめて…。


でも……痛いんだろうな。

拓海くんは、あたしを助けてくれたんだ。


あたしが、拓海くんを助けるはずだったのに。


あたしはそう思うと、ぽつりと呟くように拓海くんに言った。



「………ごめんね、拓海くん」

「?」

「それと…ありがとう。助けてくれて」



あたしはそう言うと、恥ずかしさと照れ臭さで拓海くんの顔を見ずに、その手に包帯を巻く。


思えば、理沙ちゃんのことで今朝喧嘩をしたのも、本当に申し訳なかったな。

拓海くんはあの時からもう既にあたしを守ってくれていたんだ。


それなのに…


しかしあたしがそう思ってシュン…としていると、拓海くんがふと口を開いて言った。



「謝らなきゃいけないのは、俺の方だよ」

「…え?」