【完】狂犬チワワ的彼氏



「!」



そんな拓海くんの手からは、少しずつ血が滲んでいって…

見るからに痛そうなのに、拓海くんは顔色一つ変えずに理沙ちゃんに言う。



「お前、今自分が何してんのかわかってんのかよ」

「…っ、」

「俺を妃由から奪うためにカッターなんか使って、人の大事な彼女を簡単に傷つけてさ。

そんな卑怯な奴が、本当に幸せになれるわけないだろ」



そう言うと、理沙ちゃんを鋭く睨みつける。

一方そう言われた理沙ちゃんは、拓海くんの手を見てやっと顔を青くして…

理沙ちゃんがカッターから手を離した瞬間、拓海くんもカッターを離して…それがカタン、と落ちた。



「…本当に好きだったら、俺の周りをめちゃくちゃにする前に、そんな暇があったら思う存分相手にアタックしてみろよ」



…ま、俺はどうしたって振り向かないけど。


拓海くんがそう言葉を続けると、ふいにその時拓海くんと目が合った。



「!」