【完】狂犬チワワ的彼氏



その声にあたしが顔を上げると、そこには息をきらしてこっちを見ている拓海くんがいて。

拓海くんはあたしと目が合うと、急いで階段を下りた。



「日向、お前何やって…!」



だけど…



「来ないで!」

「!」



理沙ちゃんは次の瞬間、そのカッターを今度は拓海くんに向けて言う。



「…あたし、拓海くんに言ったよね?

あたしのものになって、ずっとそばにいてくれなきゃ、拓海くんの周りの人を皆めちゃくちゃにしてやるって」


「…っ…」


「それなのに…あたしから簡単に離れて、この女を助ける気?」



理沙ちゃんはそう言うと、カッターを拓海くんに近づける。



「っ、理沙ちゃんやめっ…!」



そしてそんな理沙ちゃんに、あたしが慌ててそう言って止めようとしたら…

その時、拓海くんが何の躊躇いもなく、



そのカッターの刃を素手で掴んだ。



「…フザけんな、」