その存在があたしの目の前に姿を現すと、
まさかそれを出してくるなんて思いもしなかったあたしは、ビックリして目を見開く。
キリキリキリ…と刃を出したそれは、理沙ちゃんの手によってあたしの顔に突きつけられて。
たかがカッターナイフだけど、されどカッターナイフ。
尖った刃先は、確実にあたしを狙っている。
そしてその存在にあたしが怯えて声を出せないでいると、理沙ちゃんが言った。
「…じゃあ、どうする?」
「?」
「拓海くんを素直にあたしに渡してくれたら、傷つけずに済んであげる。
でも、渡さないって言うなら……どうなるかわかってるよね?」
「…っ…」
そう言うと、更にぐっと刃先をあたしに近づける。
ドクン ドクン ドクン
緊張が走るこの状況に、あたしは心臓の音だけがうるさくて…声を出せない。
理沙ちゃんのその問いかけに、あたしの答えはもちろん「渡さない」に決まってるんだ。
だけど…そう言ってしまえば…
しかし、あたしがそうやっていつまでも何も言わないでいると…
「ねぇ、どうするかって聞いてるんだけど?」
「!!…っ」
そう言って、刃先をあたしの左頬にあててきた。

