【完】狂犬チワワ的彼氏



そして俺がいつまでも驚いていると、日向さんがまた言葉を続けて言う。



「だってあたし、拓海くんのことが大好きだもん」

「!」

「…もう、ずっと前から」



そう言って、今度は照れ臭そうに笑った。



「…っ、」



…いつもなら、いつもの俺ならここで「キモイ」だの「ウザい」だの言うんだけど、今は不思議なくらいに言葉が出て来なくて。

ただ…その場に立ち尽くすことしか出来ない。


しかも、俺がそうしていたら…



「あ、拓海くーん!」

「!」



その時後ろから、妃由が俺を呼ぶ声がした。


ひ、妃由…。

何で、よりによってこんな時に。


そう思って俺が妃由の方を振り向くと、俺が何かを言う前に日向さんがまた嬉しそうにして妃由に言う。



「ああっ、妃由ちゃーん!おはよー!」

「!」



日向さんはそう言って妃由の名前を口にすると、妃由の傍に駆け寄って行った。


あれ…?アイツら、何?仲良いの?

そんなこと、龍也言ってなかったじゃねぇかよ。


そして俺がそう思いながら二人の姿を見ていると、妃由も嬉しそうにして日向さんに抱き付く。



…これって、結構マズイ展開なんじゃね?