「この前、拓海さんのクラスに転校生が来ました。
名前は日向理沙さんと言って、拓海さんのことを知っておられるようでしたが…彼女は拓海さんのお知り合いですか?」
「…?」
そう言って、龍也は少し首を傾げて俺を見る。
転校生………ひゅうがりさ…?って、女だよな。
名前は、初めて聞くけど。
そして俺はそんな龍也の言葉に見に覚えが無く、そいつが俺のことを知ってるのも不思議なくらい。
でも俺がそう思っていると、次の瞬間龍也がはっきりと俺に言った。
「…なんて」
「え?」
「拓海さん、ストーカーの犯人は、おそらくその方です」
「!!…は、」
「彼女は貴方に好意があるようでした。それに、俺が拓海さんじゃないこともすぐに気付かれてしまいましたし」
龍也はあっさりそう言うと、また真顔で読書を再開させる。
…いや、待て待て。
「え、いや、ちょっと待てよ」
「…何ですか」
「話の展開がいきなり過ぎんだろ。何だよそれ。
要は…この前俺のクラスに来た転校生が怪しいって、お前は言いたいんだろ?」
「いいえ。怪しいのではなく、確実なんです。俺は彼女が犯人だとしか思えません」
…まぁ、はっきりとした証拠はありませんけど。
龍也はそう言って、言葉を付け加えた。