あたしがそう言って龍也くんを見つめると、
一方の龍也くんは、そんなあたしのいきなりの言葉に少し目を見開く。
「……では、教えて下さいよ。何ですか?」
そしてしばらく黙り込んだ後、真顔でそう聞いてきた。
…この答えなんて、もうずっと出ないって思ってたけど。
「あたし…拓海くんのギャップが大好き」
「!」
「あんなに可愛い顔をしてるのに、平気で毒舌吐くところとか、そういうギャップが好きなんだよ。
そりゃあ拓海くんの一言でムカついたり落ち込んだり、怖くなったりすることもあるけど…あたしは、あの可愛い顔で毒舌はずるいと思う」
…うん。きっと、ってか絶対、拓海くんのそういうところが好きなんだ。
龍也くんにそう言った瞬間、あたしは自分の中でずっと引っかかっていたものがとれて、凄く心が軽くなった気がした。
あぁ、どうしてこんなに簡単なことがなかなか分からなかったんだろう。
なんか…今は、今だけは、智輝くんに感謝だ。
あたしはそう思うと、自然と笑みがこぼれてくるなかでやっとお弁当を食べ始めた。
うーん。疑問が解決したあとのお弁当は、格別に美味しい。
しかし、あたしがそう思いながらお弁当を食べていると…
「…妃由さんは、ドMですか」
「!」
ふいに、龍也くんが呆れたように笑ってそう言った。
え…ど、ドM?
いや、違うから!!

