あたしは龍也くんの隣でそう思うと、教室から持ってきたお弁当を取り出す。
ため息交じりにパカ、と開けると…そこに入っているのはお兄ちゃんが作った美味しそうなおかず。
いただきます、ってあたしも先にそれを食べようとすると、ふいに龍也くんが言った。
「…それ、」
「?」
「それって妃由さんが作ったんですか?」
龍也くんはそう言うと、あたしのお弁当に指を差す。
でも残念。あたし、料理は出来ないから。
「んーん。違う。あたしお兄ちゃんがいるんだけど、お兄ちゃんが作ってくれたの」
「…へぇ」
「ってかそれより、龍也くんがコンビニのオニギリってことは、拓海くんもいつもコンビニなの?」
あたしはふと疑問に思ったことをそう聞くと、横目で龍也くんを見遣る。
すると…
「いえ。いつもはお弁当なんです」
「え、じゃあお母さんが、」
「違います。いつもは智輝さんが俺達のお弁当を作って下さるんです」
でも今朝は、たまたま寝坊したのでコンビニになりました。
龍也くんはそう言うと、そのオニギリを一口かじった。
…え、智輝って…
あの智輝くんが料理とかするの!?

