【完】狂犬チワワ的彼氏



妃由 side



昼休み。

4限目の地理の授業が終わると、あたしは速足で屋上に向かった。

いつもは直樹やクラスの女友達と一緒に食べることが多いけど、「今日は拓海くんと食べるんだ」って散々自慢してきて……

ようやく、気がつけばもう屋上に繋がるドアの前。

あたしは深呼吸をすると、目の前のドアをゆっくりと開けた。


…拓海くんと理沙ちゃんは、もう来てるだろうか。


そう思いながらドアを開けると―――…



「拓海くんっ」

「!」



居た。


一番大好きで、一番会いたかった人が。


あたしは拓海くんの存在を真っ先に確認すると、思わず駆け足で拓海くんの傍に走った。



「ごめんね~待った?ってか、理沙ちゃんは?」

「日向はまだ来てないし、俺も今来たとこだよ」

「あ、そうなんだ」

「っつかさ、妃由」

「?」



拓海くんはあたしがすぐ隣に座るのを横目で見ると、ふいに話を変えてあたしに言う。



「お前、やっぱ彼女失格だな」