【完】狂犬チワワ的彼氏



その声にあたしが振り向くと、理沙ちゃんが少し照れくさそうに言う。



「あの…あたしも、いいかな?」

「え、」

「あ…ほら、あたし今日転校してきたばっかだから…牧野さんとも、仲良くなりたいし」



そう言うと、「ダメ?」って控えめに聞いてくる。


でも、



「全然!」

「!」


あたしはそんな理沙ちゃんの言葉を聞くと、首を横に振って言った。


だって、「仲良くなりたい」とか普通に嬉しいし!



「全然構わないよ!おいでおいで!


ね?拓海くん!」



そしてあたしが拓海くんにそう同意を求めると、拓海くんは少し間を置いて頷いた。



「え?……あぁ、うん」



すると、その拓海くんの反応を見て、理沙ちゃんが嬉しそうに言う。



「ほんと!?よかったぁ…じゃあ昼休み、あたしも屋上に行くね」

「うん、待ってるよ」



あたしはそう言うと、


この時は何も知らずに…暢気に、その場を後にしてしまった。