【完】狂犬チワワ的彼氏



あたしがそう言うと、直樹が携帯を閉じてあたしを見遣った。



「……じゃあ、親友として一言言うけど」

「?」

「それ、似合ってない」

「え゙っ!?」



そう言って、あたしが立っているそこに歩み寄ってくる。


ちなみに、あたしが選ぼうとしているのは白の薄手のパーカーに下はキュロット。

可愛いなぁって思っていたのに、直樹はあたしからそれを奪い取ると元あった場所に戻した。



「に、似合わないことないでしょ!」



そしてそんな直樹にあたしがそう言うと、直樹があたしの手首を掴んで言った。



「わざわざ買わなくても、普段着てるそれでじゅうぶんカワイイから、お前は」

「!」

「ショッピングはもう終わり、」



そう言って、そのままあたしの手首を引っ張って店を後にする。


……でも、「カワイイ」ってそう言うけどさぁ、



「…嘘だ、ほんとは一緒に選ぶのがメンドクサイくせに」

「…、」



そう言って、「意地悪」って呟いたら…



その瞬間、直樹がふいに立ち止まって…あたしの方を振り向いた。