拓海くんはそう言うと、あたしの肩をぽんぽんする。
…わ。拓海くんの口から「彼女」とか聞いちゃったよ。
これ、結構貴重じゃない?珍しいことなんじゃないの!?
あたしがそう思いながら顔を赤くして固まっていると、その言葉を聞いた理沙ちゃんが言った。
「…あ、だから、わざわざ拓海くんに会いに来たんだ?…えっと、牧野さんだっけ」
「うん。……あーでも、ただ会いに来たっていうか、」
「?」
…素直に頷くのは、やっぱり照れくさい。恥ずかしい。
「えっと…あ、そう!昼休み!
昼休みに拓海くんと、屋上で一緒にお弁当食べたいなぁって、誘いに来たの!」
あたしは咄嗟にそう言って、本当のことを誤魔化す。
だけど、これだったらまた昼休みにも拓海くんと二人きりで会えちゃうから。
一石二鳥?だ。
あたしがそう言って拓海くんを見遣ると、拓海くんは、
「…別にいいけど」
って、それを了承してくれた。
よっし!
そしてその言葉にあたしが「じゃあ、昼休みに屋上で待ってるね」って言ってその場を後にしようとしたら、その時ふいに理沙ちゃんに呼び止められた。
「あ、牧野さん!」
「…?」

