【完】狂犬チワワ的彼氏



拓海くんは、そう言うや否や…



「ひっ…ひぇえ!!」



あたしをからかうように、またスピードを速めた。


いやあああ!!



「は、速い速い速いぃぃぃいいっ…!!」

「何つー声出してんの、」

「死ぬ、死ぬからぁ!」

「落ち着け、怖がりすぎだろ」



拓海くんは冷静にそう言うけれど、でも何故か決してスピードを緩めない。


お、鬼だ!

ってかドSだ!

薄々勘づいてはいたけど、拓海くんって絶対ドSだよ!


あたしはそう思うと、落ちないようにまた拓海くんに必死に掴まる。


確かにね、風は心地いいけどね。

心臓に悪いから、こんなの。


……でも、あたしが怖がっているうちに、やがて下り坂は終わって。

普通の、平坦な道に戻った。


あんまり、スピードは変わらない気がするけど。

さっきの怖いのよりはマシ。


そう思って、あたしが文句を言いかけたら、それを遮るように拓海くんが言った。



「妃由が後ろにいる下り坂は、すげー良いな」