「…」
好きな人の自転車に乗るのって初めてだし、少しドキドキするけど。
いざ乗ってみたら…何だろう。目の前にある拓海くんの背中がいつもより広く感じて、照れくさい。
ど、どうしよう…腕、腰に回していいのかな。
そう思っていると、自転車を動かす前に拓海くんが言った。
「…掴まれよ、落とされたいか」
「!」
そう言って、半ば強引にあたしの両腕を自身の腰に回す。
わ…ヤバイヤバイヤバイ。もっとドキドキしてきた!
あたしの心臓の音が拓海くんに聞こえてるんじゃないかって、そう思っていたら、
「じゃあ行くぞ」
拓海くんがそう言って、ようやく自転車を動かし始めた。
…好きな人と、自転車の二人乗り。
こういうのも悪くないかも。
そう思いながら思わず独りでニヤけていたら、自転車は校門を抜けて、静かな街並みを通り抜けて行く。
心地よいスピードに、肌にあたる涼しい風。
…気持ちいい。
でも、
「妃由、下り坂入るからしっかり掴まっとけよ」
拓海くんはふいに一言そう言うと、さっきよりも速いスピードで坂を下り始めた。
わ、ちょっ…!!

