【完】狂犬チワワ的彼氏



その拓海くんの問いかけに、あたしは目を泳がせながら答える。



「…チワワみたいに可愛い、その顔。顔が好き」


「だろ?俺らは見た目が全く一緒な三つ子なんだよ。そんな理由だけじゃ、今は俺を好きでもいつかは変わるかもしれない。

その心が、いつかは龍也に向くってこともあり得ないことじゃないんだよ」



…まぁ、これからも妃由を信じたいって気持ちは俺にだってあるけど。


拓海くんはそう言うと、先に注文していたらしいアイスコーヒーを一口飲む。

一方、そう言われたあたしはその言葉に一瞬固まってしまって。

拓海くんに言われたらもう、何も返せなかった。


だって…あたしはまだ見つけられていないのだ。

龍也くんから聞かれた、「拓海くんを好きな一番の理由」を。

きっとそれさえわかれば、全然違うのに。


そしてあたしは、正面から拓海くんに見つめられながら…さっき公園で智輝くんに言われた言葉を思いだした。



“例えば誰かに恋をしたって、そんなのどーせそのうち気持ちは簡単に変わる”

“だから妃由ちゃんのソレも…これから先、何かのキッカケで簡単に変わるよ”



「…っ…」



あの時は確かに、あたしの気持ちは変わらないって思ってた。

そんな生半可な気持ちじゃないって。

それは確かなのに、だけど今それを拓海くんに言ったって、どうやったら拓海くんは全部わかってくれるの?

ましてや、そんな「気持ちが変わらない」って証拠はどこにもないのに。


あたしがそう思って顔を俯かせていると、やがて拓海くんは自身の携帯を見て、あたしに言った。



「っつか、それだけ?」

「え…?」

「妃由の話」



そう言うと、またあたしを見つめる。