【完】狂犬チワワ的彼氏



… … …



そう思って電話をかけると…

拓海くんは、3コールくらい待った後に出てくれた。



『…ハイ』

「!」



でも、出てくれたはいいけど、その声は明らかに不機嫌で…。

あたしは、さっきまで「謝ろう」と決めていた心がその声一つで怯えてしまう。



「も、もしもし…妃由、ですけど」

『知ってる』

「あ、あの…この前は、ごめん。良かったら、今から逢えないかな?」



そう言って、ビクビクしながら拓海くんの返事を待つ。

また怒られるかな?呆れられちゃうかな?

拓海くんはどう思ってるのかわからないけど、久しぶりだからってのもあるからか、とにかく電話の向こうに居る拓海くんが怖い。


…でも、



『…いーよ』

「!」

『ちょうど俺も、妃由に話があるから』



意外にも拓海くんはそう言うと、「××のカフェで待ってる」とすぐに電話を切った。


…逢ってくれるんだ。


それはひとまず安心だけれど、今度は拓海くんの言う「話」が何なのかが不安になってくる。

もしかして…別れ話、とか……だったら嫌すぎる!


あたしはそう思うと、いてもたってもいられなくなって、すぐにベンチから立ち上がった。

…「俺、もうお前のこと好きじゃない」とか、「もう飽きた。っつか呆れた」とか言われたらどうしよう…。

そうやっていろんなことをモヤモヤと考えながら歩いていると、ようやく拓海くんが待つカフェに到着して…



「いらっしゃいませー」



店員さんに声をかけられながら入ると、見つけやすい席に拓海くんが座っていた。

その姿を見ると不思議と安心感が湧いてくるけれど…同時に、不安もまた大きくなる。



「た、拓海くん」