【完】狂犬チワワ的彼氏



智輝くんはそう言うと、ベンチから立ち上がってあたしに正面から近づく。

そして、ふとあたしの頬に手を添えて…その拓海くんと同じ整った顔で、あたしを見つめてきた。



「…!!」



その顔に、あたしは不覚にもドキッとしてしまったけれど。

慌てて智輝くんの手を振り払って、彼に背を向ける。


…顔が同じだからって、流されちゃダメだ。

またあんな最低なことをされたら、今度こそ人生が終わってしまう。


っていうか、それよりも。



「お、オモチャって何」

「…」

「あたしは、物じゃないんだけど」



あたしはそう言うと、背中越しに口を膨らませる。


さっき智輝くんが言った言葉が気になって、最低だとしか思えない。

まぁ…直樹からの告白を困っていたのは事実だし、智輝くんがいなきゃあたしはあのまま困っていただろうけど…


なんか、素直にお礼とか言えない。ってか、言いたくない。


そしてあたしがそう思っていると、智輝くんが言った。



「人間なんて、みんな“物”でしかないだろ」