【完】狂犬チワワ的彼氏



「!」



あたしがそう聞くと、直樹は一瞬驚いたような顔をして…



「…それ考えてたの?いま」



呟くように、そう問いかける。


…そういうわけじゃないけど。



「んーん。

ってか、本当に教えてよ。芽衣は超良いコだよ?

優しいし、料理は出来るし、顔は可愛いし…。

……まぁあたしほどではないけども」


「…、」


「他に好きな人がいるんだって?でも、もったいないよ」



あたしはそう言うと、少しだけ口を膨らませた。

直樹にフラれて哀しんでいた芽衣の顔が、脳裏によみがえる。


まぁ、確かに直樹の気持ちも大事だけど…


でも…


そう思って直樹の返事を待っていると、直樹がスクリーンを見つめながら言った。




「……どんかん」


「え?何て、」


「映画、観終わったら教えてやる」



そして直樹がそう言った直後、場の照明が暗くなって映画が始まった…。