【完】狂犬チワワ的彼氏



そしてあたしは、思わず真剣に真っ直ぐにそう言った。

…いや、好きなのはほんとなんだけど。

もちろん、恋とかそういうことじゃないし。

龍也くんがあたしの言葉を聞いてぽかん、としているのを見ると、あたしは思わず真っ赤になって言った。



「あっ。いや、ちがっ…!

今のはそういうんじゃなくて、あたしは龍也くんが猫に優しいところとかを良いなって思ってて…!

決して、恋愛として言ってるわけじゃっ…!」



しかし、あたしが必死になってそう言うと、やがて龍也くんは吹き出して…



「んははっ」

「!」


「んなことわかってるよ。

ありがと、」



そう言って、優しく、純粋に笑った。


…その笑顔はやっぱり拓海くんと同じだけど、龍也くんの笑顔は初めて見たかも。


そしてその後は言った通りに駅にいる猫に会いに行って、あたしと龍也くんは少しの間一緒に居た。



それと、あとから龍也くんから聞いた事実。

昨日、あたしに「拓海くんを好きな本当の理由」を聞いたのは、どうやら龍也くん自身があたしの気持ちを軽く見ていたから、らしい。

どーせ本気じゃないんだろう、と。

その言葉にあたしが「本気だよ!」って言ったら、「じゃあ早く理由を見つけなよ」って言われてしまった。


…だけど。うーん、難しい。


そしてあたし達は駅で別れると、それぞれの家へと帰って行った。



……あ。

そう言えば、拓海くんとまだ仲直りしてないや…。