【完】狂犬チワワ的彼氏



「…!!」



え、


その一言に、あたしは思わず歩く足を止める。

すると、龍也くんは言葉を続けて…



「もしかして、拓海さんから何か聞きました?俺のこと」

「…や、そういうわけじゃ、」

「だったらいいんですけど。俺はもう、あの二人を兄弟だと思っていませんから」



そう言って、凄く凄く…冷たい表情をした。


…なんで、そういうこと言うの?

血の繋がった兄弟でしょ?


そんなのおかしいよ。


そして一方のあたしは、そんな龍也くんの言葉を聞けば聞くほど納得がいかなくなって。

龍也くんは駅に向かってまた歩き出すけれど…あたしは前に進めない。



…だって。



「どうしたんですか」

「!」

「早く行きますよ、妃由さん」



そんな龍也くんの言葉にあたしが顔を上げると、その時当たり前のように龍也くんと目が合った。


…あたしが、首を突っ込むことじゃない。

それはわかってる。

でも…


あたしはやがて意を決すと、龍也くんに言った。



「なんで…」

「…」

「なんで、同じ兄弟なのに、嫌いとか…言うの?」