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その夜。
家のリビングであたしが携帯と睨めっこをしていると、そこへお兄ちゃんがやって来た。
「ひよりちゃーん」
「!」
お兄ちゃんはまたビールを飲んだのか、真っ赤な顔をしてあたしに近づいてくる。
牧野琉衣(ルイ)。ちゃんと血の繋がったあたしのお兄ちゃん。
現在22歳で普通の会社員。ビールが大好きで、毎日と言っていいほどいつもビールを飲んでいる。
あたしの両親は仕事が忙しくて基本家にいないことが多いから、こうやってお兄ちゃんと二人で家にいることが多いのだ。
…げ、酒くさい。
そう思って、
「こっち来ないでバカ兄」
あたしがそう言って座っていた椅子から立ち上がると、お兄ちゃんがふて腐れながら言った。
「なんだよー。兄妹のスキンシップだろー」
「酔ってるお兄ちゃんは嫌いなの、」
あたしはそう言うと、「べー」ってお兄ちゃんにあっかんべーをする。
いや、でも、酔ったお兄ちゃんは本当にいろいろとヒドイのだ。
基本、あたしに対してだけキス魔になるから困る。
けどそんなお兄ちゃんだって、それなりに顔は良い。
だから休みの日とかは毎回色んな女の人とデートを、あたしは知ってる。

