【完】狂犬チワワ的彼氏



あたしはそう誘って、半ば無理矢理に龍也くんを昨日の駅まで連れ出した。



…………



そして、駅に向かっている途中。

特に何かを話すことなく龍也くんと歩いていたけれど、しばらく歩くとあたしはふいに龍也くんに言った。



「…ねぇ、龍也くん」

「はい?」



…聞いても、いいのかな。

少し迷ったけれど…。



「…龍也くんって、拓海くんとかと…兄弟とは仲良いの?」



そう問いかけて、あたしは龍也くんを見遣る。

でも、あたしがそう聞くと、龍也くんは少し怪訝そうな顔をして…



「何ですか、いきなり」



そう言って、眉間にシワを寄せる。


…だって、気になったんだもん。

さっきの拓海くんが、妙に龍也くんに対して冷たかったから。



「別に、なんとなく気になって」



そしてあたしが呟くようにそう言うと、龍也くんはあたしを見ずに言った。



「俺は、智輝さんや拓海さんのことが…はっきり言って嫌いです」