【完】狂犬チワワ的彼氏



「!!…え、いいの!?」

「いいですよ。どーせ俺、今から家に帰ろうとしていたとこですから」



そう言うと、「では、ご案内します」と再び家に向かった。

そしてその背中を、あたしは慌ててついて行く。


うわ…まさか、こんな展開になるとは。

ってか、拓海くんの家に行くなんて初めてだよ…。


……でも、そう言えば。



「ちょ、ちょっと待って!」

「…何ですか」



突如、あたしはまた重大なことに気が付いて、後ろから龍也くんを引き留めた。



「い、一緒に謝りに行くのは…マズイと思うの」

「?…どうしてですか?」

「や、だって…えっと…」

「…」



…龍也くんのことが原因だから。

なんて、やっぱ言えねぇーっ!


だって、あたしが一人で謝るのはわかる。

でも、龍也くんまでもが一緒だったらどうする?

そもそもあたしは、拓海くんに「龍也とあんま関わんな」って言われてこうなったのに。


あたしはそう思うと、やがて龍也くんに言った。



「ちょ、直接より、電話の方が謝りやすいし!…拓海くん、怒ると怖いもん」

「…へぇ」

「だっだからさ、今は……あ、そうだ。猫!猫のとこ行かない!?」