【完】狂犬チワワ的彼氏



「…え、」



そんな突然の言葉に、あたしは一瞬きょとん、として拓海くんを見遣る。

関わるな、とか…そんなことを言われるとは思ってもみなくて。



「…何で?」



そう聞いたら、拓海くんが言った。



「何ででもだよ。アイツは、表面上じゃ敬語遣って良い奴ぶってっけど、中身は何考えてるか、俺や智輝ですらわかんねぇ奴だから」

「!」

「あんま関わんない方がいい。…まぁ、お前と龍也が仲良いのかどうかはわからないけど、とにかく今以上は近づくな」



そう言って、あたしからふっと視線を外して顔を背けた。



「……、」



…だけど、そう言われた一方のあたしは、その言葉にすぐには頷けない。


だって、おかしくない?

兄弟の中で何かあったのかは知らないけど、それじゃああまりにも冷たい気が…。



龍也くんが可哀想。



あたしは知ってるもん。

龍也くんって、ほんとは凄く優しいこと。


だから…



「…そんなこと、言っちゃダメだよ」

「?」

「龍也くんは良い人だもん。拓海くんも、兄弟ならわかるでしょ?昨日会った時も、悪い人には全然見えなかったし…」