しかし…
あたしは、知らない。
その直後の、木塚くんの言動を。
「…!」
あたしがその場を離れた瞬間、ふいに木塚くんの携帯が鳴って…
「…もしもし?」
“ある人物”から、一本の電話がかかってきた。
木塚くんがそれに出ると、電話の向こうでその人が言う。
『よっ。お前、牧野妃由とはどうなった?』
「…」
その問いかけに、木塚くんは少し考えると…
「…大丈夫ですよ。
貴方に言われた通り、ちゃんと付き合いだして上手くやりましたから」
そう言って、目の前に建つマンションを見ながら妖しく笑った。
この時のあたしは、知るよしもないのだ。
木塚くんが、実はトンデモナイ爆弾を抱えているなんて…。
あたしは、予想すら出来ていなかった───…。

