「この前は、すみませんでした」
「え、」
「ほら、拓海さんや智輝さんと一緒に、あなたに迷惑をかけてしまって」
龍也くんはそう言うと、少し申し訳なさそうな顔をする。
…きっと、この前までのことを言っているのだ。
兄弟三人で、あたしを騙していた期間のことを。
そりゃあ、あの時のことを思い出すと哀しいけど…でも、龍也くんは悪い人じゃなさそうだし。
捨て猫にこんなに優しい男子高校生は、滅多にいない気がする。
「…い、いいよいいよ気にしなくて。気付かなかったあたしも鈍だったし」
「…」
「それに今は拓海くんとちゃんと幸せだから。ね?」
そう言うと、あたしは龍也くんに向かって元気な笑顔を見せる。
あたしがそう言うと、龍也くんは「そうですか、」と安心したような表情を浮かべた。
「なら、良かったです」
「うん。じゃあ、そろそろあたし帰っ、」
「妃由さん、」
そして龍也くんはまたあたしを遮ると、今度はさっきよりも真剣な表情で、あたしに問い掛けた。
「…あの人の…
拓海さんの、いったいどこに惚れたんですか?」

