【完】狂犬チワワ的彼氏



龍也くんはそう言うと、人差指を自身の口元に遣って来て「しー」ってやる。


…顔が拓海くんと同じなせいか、その行動に少し違和感があるけれど、それはそれでカワイイ。

ってか、それは良いとして。



「…そ、そうだったんだ。拓海くんじゃなかったんだ」

「…、」



何だろう。何か、申し訳ない。

浮気じゃないのに浮気をしたような気分。


ごめんね、拓海くん。


猫アレルギーだったなんて、そんなの知らなかった。

じゃああの日は拓海くんじゃなくて、龍也くんがあたしの学校に授業を受けに来ていたんだ。だから拓海くんの制服を…。


あたしがそう思って少し落ち込んでいると、龍也くんが突如その場から立ち上がって言った。



「…では、そろそろ帰りますか」

「え、もう?」

「はい。あまり長居していると、拓海さんに影響が出てしまうので」

「そっか、」



あたしはその言葉を聞くと、ついでに、と猫の写メを撮って龍也くんと一緒にその場を後にした。




…………




そしてその後は駅で手を洗って、あたしは龍也くんと駅を出た。

外はまだ暗くはないし、時間もまだ夕方にもなっていないけれど、これ以上龍也くんと一緒にいる理由もない。

それに、拓海くんに悪い気もするし。


あたしが龍也くんに手を振ろうとしたら、それを遮るように龍也くんが言った。



「妃由さん、」

「?」