喫茶店を出ると、さっき拓海くん(仮)を見かけた通りに出た。
すると、少し遠くの方にこっちに背中を向けて駅の方に歩いていくその姿を見つけて…。
あたしは声をかけようと、その背中を必死で追いかける。
そんなあたしの頭の中は、もう既に拓海くんのことでいっぱいで。
さっきの芽衣のことは、拓海くんでかき消されている…。
なんせ、拓海くんとはあの海に行った日から数週間、今日まで一度も会っていないのだ。
自分から電話をかけてみたり…とか考えてみたけれど、そんな勇気もなかったし。
携帯を握りしめて、何度もデートの誘いを考えて予習をしてみたりもしたけれど、結局何も出来ずに終わっていた。
だから!
今日を逃してしまえば、もうチャンスは無い!
あたしはそう思うと、勇気を振り絞って拓海くん(仮)に近づいた。
すると…
「…!」
その時、拓海くん(仮)が手に持っている透明の袋が何気なく目に入った。
…あれ?これって…
キャットフード?
ってことは、やっぱり…!
「拓海くんっ…!」

