「あたし、そんなこと、思ってない、」
「!」
そう言うと、あたしは拓海くんの背中の服をきゅっと掴む。
そして…
「嬉しかったよ…キス、してくれて」
恥ずかしさの中で、精一杯にそう言った。
…周りからの視線が、物凄くイタイ。
そう思いつつ、ドキドキしていると…
「…何それ」
「!」
あたしの言葉に拓海くんがそう呟くと、あたしの方を振り向いて言葉を続けた。
「じゃあ、何で夕べいきなり逃げたわけ?」
そう言うと、少し目を細める。
…お、怒ってる…のかな?
そう思いながらも、あたしは本当の気持ちを拓海くんに打ち明けた。
「だ、だって…緊張しすぎて苦しかったんだもん」
「…は、」

