【完】狂犬チワワ的彼氏



「…お前バカ?

一応付き合ってやってんだから、当たり前だろ」



そう言うと、「行くぞ」ってあたしの腕を引く。


一方のあたしは、軽く暴言を吐かれているのに、それでもそんな木塚くんにドキドキしっぱなしで。

木塚くんが掴んでいる自身の腕に、全神経が集中してしまう。


………でも、欲を言えば…

ちゃんと、手を繋いでほしいな。


そう思いながらもあたしはそれがなかなか言えなくて、

特に何かを話すこともなく木塚くんと一緒に学校を後にした。


けど…



「……」

「……」



その後…

他には誰も歩いていない帰り道で、なんとなく気まずくて沈黙が続いてしまう。

木塚くんはもうあたしの腕を離していて、両手は制服のズボンのポケットの中。


……そういえば、

あたしと急に付き合ってくれることになった理由とか、聞いてなかったな。


そう思ってあたしが口を開いたら、木塚くんがそれを遮るように言った。



「お前さ、」

「!」