直樹はそう言うと、あたしにいつもの笑顔を向ける。
すると次の瞬間、それをすぐ傍で聞いていた他のクラスメイトもみんな祝福してくれて…
「え、あの木塚くんと!?」
「マジか!」
「おめでとー妃由!」
「やっぱり妃由は可愛いからね!」
なんて、口々にそう言ってくれた。
…ってか、“可愛い”か。
やっぱりあたし、可愛いんだ。
そう思いながら、
「ありがとう!超~告白した甲斐あった!」
そう言って浮かれまくっていたら、それを黙って見ていた直樹がふいにあたしに言った。
「……妃由」
「うん?」
「わり、俺ちょっとトイレ。話、また後で聴くわ」
そう言うと、あたしの肩にぽん、と手を遣って、教室を後にする。
「うん、りょうかーい」
………けど、あたしは知らない。
その後、直樹が独り呟いた言葉を。
「……マジで、叶わないのかな」
そしてそう呟くと、
教室のど真ん中で幸せな笑顔を浮かべるあたしに、切なく目を遣った…。

